年をとってきた親に対して相続の話を持ち出すのは、子供にとって容易なことではありません。
子供の方で親に相続が起きた後のことを心配して話を切り出すと「親が死ぬことを願っているのか」とか「財産目当てなのか」と要らない詮索を親の側はしてしまいがちです。
それを恐れて子供の方からは話を切り出すことができません。
かと言って、行き当たりばったり、出たとこ勝負、なりゆき任せ、残った者任せでは、揉めること必至です。
何も準備せずに亡くなると、残された者だけで遺産分割協議という話し合いが必要になります。
親という立場と同じ兄弟同士では同じ家族とは言え、重みがまったく違います。
まして、限られた取り分を分け合う(取り合う)立場同士では「話し合う」ことはとても難しいです。
仲の良い兄弟姉妹関係を壊すのを恐れて、本来主張すべきことができなかったりする場合もあるでしょうし、逆にお互いが自分に都合の良い主張ばかりでケンカになることも多いです。
いずれにしろ気兼ねとストレスが多いやりとりになります。
財産の多い方ですと相続税の申告のリミットもあったりします。
死後10ヶ月内に相続税の申告をするために時間のリミットがついてきます。
相続税の基礎控除という相続税がかかる金額のラインが来年の1月1日以降発生する相続からググッと下げられます。
普通のご家庭でも相続税の心配をしなくてはいけないご家庭が増えます。
そうした税金面の配慮をしながら遺産分割の話合いをすすめるのははっきり言って大変です。
こうした事態を避けるためには生前からの相続の準備が一番有効です。
まずは「財産目録」や「エンディングノート」をつくり、相続のための整理を始めることをおすすめします。
自分の財産の内容を整理して把握することが第一歩です。
次に誰に何を残すのかを考えます。この段階になると難易度が高まってきます。
残されるご家族に配偶者の方がいらっしゃればその方の生活資金や老後の生活プランも考慮しなくてはいけません。
その問題をクリアした上で残されたご家族ができるだけ争わないような、できるだけ納得のできるような残し方のプランを考えます。
そしてプランができたらそれを実行します。
生前に贈与する方法かもしれません。
遺言書で財産の行き先を指示しておくことかもしれません。
いずれの方法にしろ「実行」しておかないと意味がありません。
「生前に親父が(お袋が)こう言っていた」という口約束は、実際の相続手続では何の効力も意味もなく、争いのもとになるだけだからです。
生前の相続の準備はだいたいこのように進めればよいかと思います。
遺言書や生前贈与についておわかりにならないことがありましたらご相談ください。
ご相談は無料です。